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Episode 1: 貪欲な富豪 05

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「なぁアンタ知ってるかい? 種族を問わない奴隷を売ってるっていう店の噂」

 

ある日カルロスが市場を視察していると、

他の街から行商に来ていた若者が、取引相手にそう語っていた。

 

「ああ、聞いたことがあるな

 悪魔が営んでいるんだっけか?」

 

不思議とカルロスは、足を止めてその話に聞き入ってしまう。

 

「俺は人間が営んでるって聞いたが、

 知り合いがその噂の店に行ったんだとよ

 天使の女が売られてるとか言って鼻息荒くして帰ってきやがった」

「おいマジかよ…」

 

盗み聞きしている事に我慢ができなくなったのか、

その二人の商人のもとへ、カルロスは歩み寄る。

 

「おいおいお前ら、面白そうな話をしてるじゃねぇか!

 詳しく聞かせろよ!」

 

陽気に歩み寄る彼に、商人二人は笑顔で挨拶する。

 

「旦那も知ってます? 種族を問わない奴隷商の噂」

「いや、初耳だが気になってな

 うまく取引できれば新たな客層が掴めるだろ?」

「さすが旦那!」

 

新たな客層を掴むなど、建前でしかない。

 

「魔物もいるとか聞きましたね、淫魔とかオークとか」

 

人間以外の奴隷。

それはカルロスにとって、新たな快楽を期待させるには十分すぎる話題であった。

聞けば聞くほど、彼のの好奇心は刺激されていく。

 

「で、その店にはどうやったらいけるんだ?」

「いや、結局聞いた話なんで俺もよくわからんかったんですが、

 そういう商品を心の底から求める人のもとへ迎えが来るらしいですぜ?」

 

求めれば…買える…?

 

「おいおい安全なのか?」

「わっかんないですよ、あくまで噂ですし」

 

「噂ならなおの事、試す価値はありそうだ!

 情報ありがとうよ!」

 

興奮が表情に出る事を耐えながら、カルロスはその場を去る。

しかしその変化に商人の一人は気付いていた。

 

「…確かにいつも陽気な旦那だけど、

 あんな輝いた目してるの見たのは初めてだわ」

「そうか?

 まぁこれで旦那が何か入荷してきたら、噂の真偽がわかるってもんだな」

 


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